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遺族になると葬儀以外にもやらなくてはいけないことがあります。それが、相続税の申告と納付です。いつまでに申告して払えばいいのか、そもそも申告する必要があるのかなどを知っておきましょう。

相続税の申告・納付期限は10カ月以内

相続税は富裕層の問題で、自分には関係ないと思われる人もいるかもしれませんが、すべての資産を把握しているわけでもない限り、決して他人事ではありません。

相続税の申告及び納付は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内」と定められています。1月6日に亡くなった場合の申告期限はその年の11月6日となりますが、何らかの事情で相続開始を知ったのが1カ月遅れた場合、その人の申告期限は1カ月ずれます。

税務署からお知らせがくるケース

人が亡くなったら、必ず死亡届を提出します。その情報は自動的に税務署へ送られ、納税者のデータから不動産や所得情報などを元に相続税の申告有無について把握しています。

相続税納付の可能性が高い人に向けて、管轄の税務署から「相続税についてのお知らせ」や「相続税申告等についてのご案内」といった書類が送られてくることがあり、前者は相続税申告の可能性がある人、後者はさらに可能性が高い人だといわれています。

税務署が相続税の申告が必要かどうか教えてくれるなら、そのお知らせが来てから準備すればいいと思うのは大間違い。このお知らせは相続が発生してから数カ月過ぎた段階で送られてくるうえ、相続税の申告・納付が必要な人に必ず送付しているわけではありません。もし、税務署からのお知らせを受け取った際には、スムーズに返信できるよう早めに準備を進めておきましょう。

相続税の申告・納付期限は10カ月以内

親族が亡くなったら、全員、相続税を払うわけではないため、申告・納付期限内に間に合うよう、まずは自分が申告対象なのか調べる必要があります。

同居している身内が亡くなった場合、相続税申告の有無は比較的わかりやすいですが、高崎市と東京など離れて暮らしていた場合、調査に時間と手間がかかります。

基礎控除と相続財産

相続税の申告が必要なのは、相続する財産(相続財産)が基礎控除よりも高額な場合です。基礎控除よりも少なければ、当然、申告する必要はありません。

基礎控除額は、3000万円+(600万円×法定相続人の数)で割り出します。
例えば、夫婦、子ども3人の5人家族で父親が亡くなった場合の基礎控除額は3000万円+(600万円×4)で5400万円です。相続財産がこの額を超えていれば申告が必要、超えなければ不要となります。

相続財産は不動産や預貯金のイメージがありますが、それ以外にも株券、有価証券、借地権、借家権、自動車、家財、ゴルフ会員権、電話加入権、慰謝料請求権などのプラスのものから、住宅ローン、カードローンなどの支払い、所得税、固定資産税、国民健康保険料、通信費、家賃などの未払い分といったマイナス分も含まれます。

正確に計算するためにもなるべく多くの情報を集めて、早い段階で専門家に相談したほうが負担も軽く、スムーズに進められます。誰に相談すればいいかわからなければ、高崎市で行われている行政書士など専門家による特別相談のように、各自治体で実施されている相続に関する相談会を利用するのもオススメです。

相続税以外の期限にも注意

相続に関する申告期限は相続税だけではありません。
関連している手続きにも期限があり、相続税の10カ月以内よりも短く設定されているものもあるため、活用する際にはいかに早く行動するかが鍵となります。

延納、限定承認、相続放棄などの期限

相続税は1回払いでの納付が原則となっていますが、やむを得ない事情がある場合には複数の制度が用意されています。主な内容と申出期限は下記の通りです。

延納:相続税額が10万円を超え、一括で納付することが困難な事由があるなど条件を満たす場合、担保または保証人を提供することで分割納付できる制度です。延納申請は納税申請期限である10カ月以内に延納申請書と担保提供関係書類を税務署長に提出。事前に対象となる詳細な条件や担保、利子などを確認する必要があります。

限定承認:相続方法のひとつで、相続で得た財産を限度として故人の借金を弁済できます。限定承認は相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に家庭裁判所に限定承認の申し立てを行います。3カ月と期限が短いため相続方法まで手が回らない場合、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てると期間延長が可能です。

相続放棄:故人の財産と借金、全ての相続権を放棄する相続方法です。逆に全てを相続することを単純承認といいます。相続放棄も限定承認と同様、相続の開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申し立てを行います。上記同様、期間の伸長を申し立てれば延長可能です。

まとめ

相続税申告・納付期限の10カ月は長いようですが、何かと慌ただしい遺族にとってはあっという間に過ぎてしまいます。特に離れて暮らしている場合は往復に時間も取られるため、早めに専門家に相談したほうが安心です。

どうしても期限内の申告が難しければ、3カ月以内であれば「相続の承認又は放棄の期間の伸長」の申し立てが行えるので、うっかり申立期間を過ぎていたことがないよう注意しましょう。