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悲しいことですが、配偶者や親が亡くなった後は、相続財産に関わる相続税問題が生じることがあります。そんな時に役立つのが相続税の計算方法です。それほど難しい方法ではないので、知っておくと助かります。この記事では、相続税はどんなときにかかるか、相続税の計算方法、相続税の計算方法を間違えた場合について解説します。

相続税はどんなときにかかる?

相続税は、親などが亡くなり、相続財産がある場合、その金額によっては相続税がかかります。ここで詳しく紹介します。

親など被相続人が亡くなったとき

親や場合によっては祖父母などが亡くなったとき、法定相続分の額により、相続税がかかります。この場合、財産を相続される人、亡くなった人のことを被相続人と言います。

相続税の計算方法を考える前に、相続財産がどのくらいの金額か、土地なのか、現金なのか、確認しておいた方が良いです。このように、被相続人の財産を相続する人のことは、相続人と言います。

相続人には順位があります。配偶者は常に相続人扱いですが、その他の相続人の順位は以下です。

  • 第一順位:被相続人の子供(死亡している場合は孫)
  • 第二順位:被相続人の両親や祖父母など直径卑属(被相続人により近い方)
  • 第三順位:被相続人の兄弟姉妹(死亡している場合はその子供)

相続する財産が基礎控除額を超えるとき

上記で説明した法定相続分(法律上決められた相続分)が、基礎控除額3000万円を超えると、相続税がかかります。この基礎控除額は、相続税の計算の際に重要な役割を果たします。

基礎控除額は3000万円の他に、相続する人数分の600万円が加算されます。

相続税の計算方法をシミュレーション:1億円相続のケース

ここでは、相続税の計算方法を説明します。Aさん85歳の遺産1億円を相続するケースをシミュレーションします。

まずは計算方法です。

  • 最初に正味遺産額を算出します。この額は残された財産の総額から借金分を引いた金額です。財産総額は土地、建物、貯金など、被相続人が所有している財産すべてです。ここでは、正味遺産額を1億円とします。
  • 基礎控除額を求めます。上記にありますように、基礎控除額3000万円に相続人の人数分の600万円が加算されます。

3000万円+600万円×相続人の人数

  • 正味遺産額から基礎控除額を引いた金額がプラスになれば、その金額に応じた相続税がかかります。下記に紹介するそれぞれの場合でシミュレーションします。

相続税の計算に利用する相続税の税率と控除額は以下です。

法定相続分の金額

税率

控除額

2億円以下

40%

1,700万円

1億円以下

30%

700万円

5,000万円以下

20%

200万円

3,000万円以下

15%

50万円

1,000万円以下

10%

特になし

 

配偶者と子供2人の場合

Aさんに配偶者の他に子供が2人いる場合です。

  • まずは基礎控除額を出します。

3000万円+600万円×3人=4800万円

  • 正味遺産額から基礎控除額4800万円を引いた額が1億円とします。
  • それぞれの相続分を法定相続分の割合から出します。

法定相続分は以下のように決められています。

  • 配偶者は2分の1
  • 子供は全員で2分の1

上記に従いますと以下の式になります。

配偶者:1億円×1/2=5000万円

子供:2人で5000万円になるので、1人分は以下です。

5000万円×1/2=2500万円(1人2500万円ずつ)

  • 相続の金額による税額を算出します。

配偶者:税率20% 控除額 200万円

5000万円×0.2-200万円=800万円

子供:税率15% 控除額 50万円

2500万円×0.15-50万円=325万円(1人分)

配偶者と子供2人の合計の相続税額:800万円+325万円×2人=1,450万円

配偶者と子供1人の場合

配偶者と子供1人の場合で1億円の相続税を計算してみます。上記により、配偶者と子供はそれぞれ2分の1ずつの相続です。

配偶者の相続分:5000万円

子供の相続分:5000万円

したがって税額も下記の通り、同じ額です。

5000万円×0.2-200万円=800万円

相続税の合計は800万円の2人分です。

800万円×2=1600万円

配偶者と弟が相続人の場合

Aさんの配偶者と弟が相続人の場合で考えます。この場合、法定相続分は配偶者4分の3、弟4分の1です。

  • 1億円の法定相続分を出します。

配偶者:1億円×3/4=7500万円

弟:1億円×1/4=2500万円

  • 相続税を計算します。

配偶者:税率30% 控除額 700万円

7500万円×0.3-700万円=1,550万円

弟:税率15% 控除額 50万円

2500万円×0.15-50万円=325万円

配偶者と弟の合計の相続税額:1,550万円+325万円=1,875万円

相続税の計算方法をシミュレーション:1億円相続のケース

上記で紹介した計算方法で相続税を求めることができます。しかし、うっかり間違えてしまうことも考えられます。

たとえば、税率や控除額の数字を間違えただけでも、相続税の金額は間違ってしまいます。ここでは、計算違いで税額を多く支払ったケース、少なく支払ったケースを紹介しますので、参考にしてください。

計算方法を間違えて税額多くなったケース

仮に、ちょっとした計算方法のミスで相続税の金額を多く支払ったとします。その場合、税務署からは何の連絡もありません。

つまり、多く支払った分は戻ってこないということです。なぜならば、国税は申告制なので、自分で申告したらそれで通ってしまうからです。

計算方法を間違えて税額が少なくなったケース

上記と逆で、計算方法を間違えて少なく支払った場合は、足りない分の支払いが求められます。ケースバイケースですが、過少申告のペナルティが課せられることも考えられます。

こうしたことにならないように、相続税でお困りの場合は、税理士に依頼することをおすすめします。

まとめ

相続税の計算方法は以下です。

  • 基礎控除額を算出し、正味遺産額から引きます。
  • ①の額にあてはまる法定相続分を出します。
  • ②の金額に合う税率、控除額をあてはめて相続税額を算出します。

相続税の計算方法を覚えておくと、いざというときに役立ちます。頭の片隅に置いておきたいものです。

しかし、仕事などでなかなか時間が取れない場合などは、税理士にお任せください。高崎市やその周辺にお住まいの方は、当事務所にご相談頂ければ幸いです。